新しい測量手法を開発しちゃいました。

写真 1 社内に掲げられた47年の歴史を持つ『測天豊人』の額装
みなさん こんにちは
株式会社 北斗測量設計社の測天 豊人(そくてん ほうじん)です(写真 1)。
今日は、ちょっと恥ずかしい話しですが、当社の『三軸ん』の“開発”というほど大げさな話しではありませんが、開発経緯についてばらしちゃいます。
社員・役員含めて12名程度の会社ですが、津留先生の指導(実はパワハラ)で、このような開発経緯を共有し、小さい測量会社さんも頑張って欲しいです。
遅れましたが、私は北斗測量設計社の社是(実はキャラクター)のれっきと商標登録した天を測って地を量る測天量地に由来する、天を測って(測天)、人を豊にする(豊人)、測天豊人です。ホゥジ(4G注1)と呼んで下さい。

写真 2 『三軸ん』の聖地 福島県喜多方市
2022年に先生に技術顧問になっていただいて、実測分野はご存じないので、そのとき請け負っていた災害査定の測量現場にお連れしました(写真 2)。
そこで一言、「SfMを使えば、この現場は10分で終わるんじゃない」
実際には、草刈りや杭打ちがあり、そうは問屋が卸しませんが、撮影だけでいえば、もっと短時間で終わることが後で分かりました。
ちなみにSfMは、正式にはSfM/MVSで、えらい国土地理院さんが作られた作業規程の準則では、ドローン撮影の写真を使っているのでUAV写真点群測量と呼ばれる、普通の人が持つカメラで撮影した写真から、写真の撮影状態(「外部標定要素」というそうです)を再現(SfM)し、それから三次元点群を作成する(MVS)技術です。自動で処理してくれる優れものです。

写真 3 段ボールと割り箸による三軸座標規の構造模型
翌週、先生より三軸座標規の模型が届きました(写真 3)。
段ボール+割り箸製です。これで、三次元点群に水平と縮尺を与えるそうです。割り箸のところは測量ポールを使用し、作るのは段ボールの部分だそうです。説明しなくても分かりますが。

写真 4 簡易三軸座標規による検証
疑ったわけではありませんが、本当は疑っていて、測量ポールのみを使ってやってみました(写真 4)。
本当に精度よく三次元点群ができました。これはすごいと喜んでいたところ、先生から写真測量の理論が分かっていれば、「もっと早く楽にできる」とだめ出しにあいました。
このときは、やたらめったらと撮影したので、撮影だけで20分以上をかけた気がします。処理はウン時間でした。
-1015x1024.jpg)
-1024x820.jpg)
写真 5 座標軸台『三軸ん』第1号(木製)
先生の模型にならって、ホームセンターで購入してきた木材を使用して作ってみました(写真 5 上段)。先生の設計では、部品数を少なく、単純にということでしたが、収まりがよくありません。XY軸を水平にするため、それぞれの軸に足を設けました。測量ポールが外れないよう、軸の原点と先端に留め具を設けました。社員も興味津々で、それぞれの気持ちが体に表れているようです。
現場でも様になっています(写真 5下段)。
ただ、「地元の産業振興のため福島産の堅い歪みの少ない木を使おう」という提案からホームセンター調達に替わった木材は、工作精度が確保できなくて測量ポールが収まらず、結局は、3Dプリンターというアイデアにつながり、地元の会社にお願いしました。
-1024x810.jpg)
写真 6 座標軸台『三軸ん』第2号(樹脂製/寸法不良)
3Dプリンターで作った樹脂製の第2号機が届きました(写真 6)。早速、組み立ててみると測量ポールが入らない軸が発生していました。またもや。原因は示されませんでしたが、どうも3Dプリンターの操作に慣れていず、苦労しているようでした。(この大きさの印刷は初めてのようです。)
とはいえ、一歩前進したようで、気が早いのですが、片手の三軸座標規を見ながら名前を皆で相談しました。そして、小林君の案で一軸でもなく二軸でもない、『三軸ん』にしました。
-1024x742.jpg)
写真 7 座標軸台『三軸ん』第3号(樹脂製/接続不良)
座標軸台『三軸ん』第3号です(写真 7)。
右側の軸の中央に、糊がはみ出したような斜めの筋が見えます。材料の樹脂を付け替えたときにできた膿です。この後、分解中に、ここから折れてしまいました。トホホホホ!
みんな、がっかり。
この日は、先生も来られていて、業者を替えるように強く指導されました。
.jpg)
写真 8 座標軸台『三軸ん』第4号(樹脂製/強度不良))
XYZの3つ軸を組み合わせるところにも、強度不良が出ました(写真 8 中央上、四角上の白い傷)。
先行きが不安です。

写真 9 桧町東部公園の石段
座標軸台の開発も頑張っていましたが、効率的に三次元点群を作成できる技術の習得も進めました。カメラもいろいろと試してみました。現場に強いKODAK製PIXPRO、ソニー製スマートフォンXperia Ace SO-02L、ソニー製α6000、RICOH製コンパクトカメラGR、Apple製iPhone13。
実験場所は、公園の石段です(写真 9)。
結果は、見せられません。先生に相談しましたが、被写体に木理や濃淡が少ないこと、カメラが悪いことなど、幾つか要因を挙げてもらいましたが、撮影の記録が整理されていず原因特定には至りませんでした。「重複度が多くする手もあるが」という内なる声も聞こえましたが、高い技術力を獲得するのが方針です。
安易な妥協は許さない!
-1024x777.jpg)
写真 10 座標軸台『三軸ん』第5号(樹脂製)
試作を何度も繰り返しました。製造業出身、測量士受験取得の吾妻君がいたのでとても助かっちゃいましたが、業者は変わりませんでした。
MVS処理での立体測定の誤認を避けるため模様を付けるよう先生にいわれましたが、穴を開けることでお茶を濁しました。穴は別の材料で印刷し、印刷後のくり抜きです。手間も材料も増えちゃいました(写真 10)。
完成!

写真 11座標軸台『三軸ん』の全容(左:構成部品、右:目盛較正基準)
ジャじゃん、『三軸ん』の全容です(写真 11左)。
XYZのそれぞれの軸(水平軸A・B、垂直軸)を組立式にすることで、運びやすくしました。
XとYの軸となる水平軸A・Bには、水平器設置台を設け、XY平面が水平にし易くしました。
近接する小規模崩壊地をひとつの座標系にできるコンパス測量が行えるように、方位磁石台を両方の水平軸に設けました。ひとつでも大丈夫ですが、まあいいことにしましょう。
測量ポールの頭部の長さが製品によって微妙に違うため、全ての軸に基準位置を設け、そこに最初の赤白境界を較正できる目盛較正基準を設けました(写真 11右)。
その際、垂直軸(Z)は、測量ポールが浮いても固定できるようにリングを用意しました。
傾斜地でも安定した水平状態での設置ができるように、垂直軸には堅牢な支柱を取り付け、水平軸には伸縮脚を取り付けました。
座標軸台『三軸ん』は、特許を申請しました(特願2023-208086)。

写真 12 日本測量協会の清水会長から奨励賞を授与される社長
2024年の秋田県と山形県を中心とする豪雨災害で実証できましたので、日本測量協会の応用測量論文技術発表会に投稿しました。社員全員で力を合わせて成し遂げられた成果ですが、代表して社長と吾妻君、先生の名前で投稿しました。
奨励賞をいただきました(写真 12)。これは我が社にとって、“すごい”ことです。
小さい会社で、大したことはできませんが、防災・減災に貢献していくことを改めてみんなで確認しました。
また、一般社団法人を設立し、『三軸ん』を被災地に貸し出すことにしました。土砂災害が常に同じところで毎年起こるわけではないという皆の意見を踏まえ、測量業界全体で使い回した方がいいという社長の決断です。よ、太っ腹! そして、私たち北斗測量設計社の三軸座標規の開発に見られますように、実測会社や役所職員が写真測量の技術を身につけるには、教育や訓練が必要です。そのための場とも考えました。
まだまだ未熟な我々ですので、いろいろと頑張っています(写真 13)

写真 13 小規模崩壊地の三次元点群陰影図
2026年2月吉日 測天 豊人(4G)
注1 :4Gとは、4つのGeo、つまり座標(x,y)と標高 (h)、時間(t)を意味します。なお、Geoは、ギリシャ語に由来する①「地球」、②「大地」、③「土地」、④「空間的位置」に関わる言葉だそうです。ChatGPTが、教えてくれました。
